11月の園だより

　見上げた空は高く、いわし雲やひつじ雲が流れ、秋らしい気持ちの良い日々が続いています。運動会が終わった園庭は、プレ保育のどんぐり組さんから年長さんまで「ここが自分の好きな場所」とみんな居心地良さそうに、好きな遊びを思う存分楽しんで過ごしています。園庭になった柿の実を取ろうと何度もジャンプする年少さん。木登りくまさんのてっぺんまで登れるようになって、嬉しくって「お～い！やっほ～」と大きな声の年中さん。リレーが終わったら「次はドッチボール！！」とメラメラ燃えている年長さん。こんな感じでみんなバラバラに遊んでいても「どの子も自分たちの仲間だね」と温かい空気で包まれている今日この頃の幼稚園です。

　さて荏田南幼稚園では、数年前から年長さんの１年間、かがく遊びを行っています。かがくと聞くと「少し難しい？」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。テーマは毎回変わりますが、「空気」や「鏡」「音」など、どの子も「聞いたことあるよ！」の身近な不思議について、専任の先生を招いて、実験と説明と共に面白がって知っていく、といった感じの内容になっています。朝から「今日はどんなことやるのかな～（ウキウキ）」と、楽しみにしている子も多いかがく遊び。かがく遊びが始まると、自分の持っている知識と今教えてくれていることを合体させながら、あれこれ頭の中をたっぷり動かし、想像していくみんなです。例えば空気の回の時のこと。いつも周りにあるけど目には見えない空気。無かったら本当に困ってしまうけど、あるのが当たり前すぎて、改めて考えた事なんて無い子ばかりです。まずは空気に関係のあるクイズを出しながらスタート。次にビニール袋や軽い板を使って遊びながら実験を行っていました。楽しそうにしながらもみんな「へ～！なる程！」と言った表情です。するとある男の子がひらめいた顔で、ぽそっと一言「空気って重いんだね」と。本で読んだり大人から教えてもらった事が、実際に実験を行うことによって自分の目でもって発見し、自分の中に入った瞬間です。静かに、でも目は嬉しさにキラキラと輝いて、私たちまでそのワクワクが伝わってきます。

　今、日本の若者たちのかがく(科学・化学)離れが多く言われています。１０年後位には、日本人からはノーベル化学賞の候補すら出ないのではないか、との事。国からの補助金が減らされたり、色々原因はあるかと思いますが、身近な不思議を見つけ、自分の目で発見しワクワクする環境や、想像力をはぐくむ環境も、狭くなってきているのかもしれませんね。自然に対しての敬意と脅威は忘れずに持ちながら、隣り合わせにあるかがくの世界に小さい頃から触れ親しみ、興味の世界が広がってくれたら嬉しいですね。「空気って重い…」がどんどんと広がり、ノーベル化学賞になることがあるかも！？

　さて気が付けばもう１１月。幼稚園は少しずつ発表会に向けて動き始めています。保育室からは大太鼓の音が聞こえてきたり職員室に遊びにくる子たちからも「○○で踊りたいな」や「絶対悪者役になる！」など、発表会でやりたい話で盛り上がっています。主役を希望する子もいれば、悪役・植物・動物など、希望だけ見てもその子らしさ満載。私たちもその子の希望通りにしながらも、あまりにも希望者が多い役・少ない役が出ると「この役少ないから誰かやってくれるかな？」と声をかけると「それもやってみたかったからいいよ！」と言う子がいたり、「絶対絶対この役！」だったり、これもまた担任からしてみたら一人ひとりのそれぞれが出ていて、目を細める愛しい光景です。そんなこんなで話し合いながら決まり、１１月から練習開始。１カ月ほどの練習なので、飽きる前の楽しさがピークの時に本番となります。年少さんは全員お遊戯、年中さんはクラスを半分にして劇かお遊戯、年長さんはクラスで一つの劇を披露します。そうそう！去年の年長さん（元ほし組）のママさんとお話していた時の事。去年やったライオンキングが楽しすぎて今でも毎日ＤＶＤを見ているとの事。そしてなんと将来の夢は劇団四季に入ることなのだそう！発表会をきっかけに自分の大好きが見つかったのですね。さて今年はどのような発表会になるのか、今から楽しみです。

　こんな感じの１１月。インフルエンザもそろそろお目見えの様ですが（幼稚園はまだいません！）、今月もみんな元気に登園して来てくださいね！